法律で指定された危険物を保管する施設!危険物保管庫の費用など基本情報を解説

人のインフラを支える物質の中には引火し易かったり爆発したりなどの危険な物質があります。
社会に必須の物質と言えども安易に無関係な人が近づかないようにする必要があります。
そのために安全に危険な物質(危険物を)関係のない人が近づけないよう補完することが法律で義務付けられています。
これを危険物保管庫と言います。
危険物の種類によって仕様や運用が定められていますので、ここでそれら危険物を補完するために必要な倉庫がどのようなものか、建設費用などを説明いたします。
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法律で指定された危険物を保管する施設!危険物保管庫の費用など基本情報を解説
- 危険物保管庫の建設費用の目安は坪60~80万円が相場
- 危険物保管庫の建設期間は床面積300坪程度で4~6ヶ月が目安
- 危険物保管庫の建設の流れを把握しておこう
- 危険物保管庫工事の完了後に所轄消防や審査機関などの検査を受ける
- 危険物保管庫は危険物取扱者の選任が必要不可欠
- 危険物保管庫は法律に従った消火設備の設置および数量の届け出が欠かせない
- 危険物保管庫に保管可能な危険物は消防法で第1類から第6類まで6種類に分類
- 危険物保管庫は軒高さが6m未満の平屋で床面積が1,000㎡以上などの構造の基準がある
- 指定数量が10倍以上の危険物保管庫には避雷針の設置が必要
- 危険物保管庫は地下に設置すると安全性が高まります
- 危険物保管庫には管理者を置き適正に管理する必要がある
- 危険物保管庫は素材によって場所を使い分けたほうがよい
- 危険物保管庫は定期的なメンテナンスが必要です
- 危険物保管庫は住宅地に作らないように気を付けよう
法律で指定された危険物を保管する施設!危険物保管庫の費用など基本情報を解説
上記のように引火しやすかったり、爆発しやすい物質の保管に関する事項なので、危険物保管庫の規定は法律(消防法)で定められています。
危険物を使う危険物保管庫はタンク貯蔵所、地下タイプの貯蔵所移動式タンクの貯蔵所の3つのタイプがあります。
その中で、倉庫を貯蔵所としている場合は危険物倉庫と呼ばれます。
因みに床面積300坪程度で平屋建ての危険物保管庫を建てる場合は4から6か月程度の工期が必要と言われており、費用は同じ条件で固定式消火設備を設置した時はツボ60~80万円が標準的と言われています。
この際、地盤や規模など敷地条件によって金額が変わる恐れがあります。
危険物保管庫の建設費用の目安は坪60~80万円が相場
工場などモノづくりを行っている企業は物流倉庫を管理していて、全ての建築構造での倉庫の全国平均坪単価は43.5万円で施工ができるといわれています。
しかし、危険物保管庫となると一般的な倉庫とは異なり特別仕様になるのでコストが高くなるのではないか、これから危険物保管庫の建設を計画している会社など気になる部分といえましょう。
建設に要する費用相場は坪60万円から80万円が目安といわれているのですが、これは床面積が300坪で1棟平屋建て、固定式消火設備などの諸条件を持つ建築物の場合です。
ちなみに、危険物保管庫は2階建て以上の建物は基準から外れているあくまでも平屋建ての建築物でなければなりませんし、床面積も1,000㎡以下などの基準があることを覚えておきましょう。
この費用相場は建物規模や消火設備などで変わりますが、敷地条件でもある地盤などでも金額が変わることもある、特に地盤が弱い場所などでは地盤改良工事が必要になることも覚えておくと安心です。
危険物保管庫の建設期間は床面積300坪程度で4~6ヶ月が目安
危険物保管庫を建てるとなると長期間の工事が必要になるのではないか、なるべく早い段階で危険物を扱える保管庫が欲しいとなったときなど建設期間について気になって来るケースは多いといえます。
危険物保管庫が完成しないと、その都度離れた場所に保管してある薬品や材料を取りにいかなければならない、工場を移転したことで作業現場と資材保管庫が離れてしまうなどのケースは多いといえましょう。
基本的に、床面積が坪程度の保管の場合は4か月から半年が目安です。
規模が小さくなると期間の短縮はできる、逆に危険物保管庫の上限に相当する床面積1,000㎡などの場合は1年以上かかるなどの目安にもなるわけです。
長期的な期間でも完成まで待つことができる場合は通常の方法で建設を行えば良いのですが、300坪で4か月や半年も待つことができないとなったときおすすめできるのがテント倉庫を活用する方法です。
テント倉庫は、建設期間の短縮効果が期待できる危険物保管庫としても利用可能な設備です。
危険物保管庫の建設の流れを把握しておこう
危険物保管庫を建設するとなったとき、設計された建築物が法律の基準を満たしているものであるのか所轄に対して確認や申請などの手続きを行う必要があります。
ちなみに、新築の住宅を建設するときも設計図を建設地の住所を管轄している役所に対して建築確認申請を行い許可を得てから建築をスタートさせることになりますが、これは危険物保管庫においても同じで最初に自治体の市区村長に対し許可を得ることから始めなければなりません。
また、建設地が決まっているときなどその場所に危険物保管庫を建てることができるのか、これも所轄での確認や申請が必要です。
特に、保安対象物が近くにある場合には建てることができない場所もあるので候補地は最初に決めるよりも可能な場所を特定するなども大切です。
全体的な流れを把握することは申請して却下されてしまう、認可が下りないなどのリスクを回避できますし手間を省けるので最短で危険物保管庫を完成させることができるメリットに繋がって来ます。
危険物保管庫工事の完了後に所轄消防や審査機関などの検査を受ける
危険物保管庫は、300坪の1棟平屋建ての場合4か月から半年が建設工期の目安ですが、これは地盤や規模など敷地条件や建物の規模や設備などで変わります。
また、同等の危険物保管庫に対し固定式消火設備を導入する場合の費用相場は坪当たり60万円から80万円が相場で、こちらも地盤や規模などで費用も変わりますし導入する消火設備により金額が変わって来ます。
これらの施工期間や費用は、設計や施工などでの不備における改善費用は含まれていません。
保管庫の工事が完了した後には所轄となる消防署や審査機関などからの完成検査を受けることになり、これで合格を貰えれば運用を始めることはできるのですが不備が有ったときにはそれの改善をしなければならないので、費用が多くかかることや運用開始までの期間が長引いてしまうわけです。
なお、危険物保管庫を専門にしている建設会社に相談することで、消防や審査機関などの検査を受けて竣工および引き渡しになるので安心して任せることができます。
危険物保管庫は危険物取扱者の選任が必要不可欠
危険物保管庫は、立地や構造設備についての基準が設けられており、それに合致したものでなければ危険物保管庫として認められません。
例えば周囲には空き地を設けることや隣の建物との距離、不燃性の素材を使うことや2階建てなどにしてはならず平屋でないといけないといった事柄です。
ですが、このような施設面での要求事項さえクリアしていれば問題ないのかというとそんなことはありません。
危険物取扱者と呼ばれる資格を持った者を専任することが必須です。
これはいわば施設というハード面と、人というソフト面の両方から安全性を確保しようとする取り組みということができ、これと同じような観点に立っている物事は数多くあります。
この資格を得るためには試験があって、それに合格しなければなりません。
ただ試験はペーパーテストの学科のみであって実技とか実習が求められることはありませんし、受験資格の面でも実務経験は不要ですので、対策はしやすいと言えるかもしれません。
危険物保管庫は法律に従った消火設備の設置および数量の届け出が欠かせない
危険物保管庫とは、危険物を保管するための専用の施設ですが、危険物とは消防法の法律で定めが行われている薬品などの総称です。
また、危険物保管庫には危険物の指定数量と呼ぶものがあるのですが、これは消防法で定めが行われている危険物質の取扱いや保管および運搬に関して欠かすことができない概念です。
なお、指定数量は危険物についてその危険性を勘案して政令で定めている数量、定められている数量以上の危険物の貯蔵および取り扱いは市区町村の許可を受けている施設で、政令で決められている技術上の基準に則り行うことが求められます。
危険物保管庫では、規模や取り扱いが行われる薬品などで避雷針や換気設備が必要になりますし、消火設備は必須設備の一つです。
出入口や窓などを設けるときには、防火設備として利用可能な機能が必要ですし、窓ガラスは網入りガラスが基準になっているなどそれぞれの設備ごとの機能を十分理解する、これらを基に届出を行うことが大切です。
危険物保管庫に保管可能な危険物は消防法で第1類から第6類まで6種類に分類
危険物保管庫に保管可能な危険物は、消防法に定めがあって、第1類から第6類まで6種類に分類されています。
危険物保管庫の保管対象となるこれらの物質を見ていくと、第1類は酸化性固体です。
これはそれ自体が燃えるわけではないものの、酸化剤の働きがあるため周囲にある他の物を酸化させやすく、結果的に発火させたりする可能性があります。
第2類は可燃性固体です。これは燃えやすい固体であり、ロウのようなものを想像するかもしれませんがより危険なものとして赤リンとか硫黄、鉄粉やマグネシウムなどが該当します。
第3類は自然発火性及び禁水性物質で、水をかけると爆発する物の代表として金属ナトリウムが挙げられます。
第4類は引火性液体で、要するに石油・ガソリン・軽油・アルコールなどそれ自体が燃えやすい液体物になります。
第5類は自己反応性物質と呼ばれ、爆薬にもなるニトロ化合物が代表的です。
そして第6類は酸化性液体で、第1類と同じくそれ自体は燃えませんが他の物を酸化させる液体のことです。
危険物保管庫は軒高さが6m未満の平屋で床面積が1,000㎡以上などの構造の基準がある
危険物保管庫には種々の構造の基準が設けられています。
それは、軒高さが6m未満の平屋で、床面積が1000平方メートル以下であることなどです。
危険物保管庫が平屋でないといけないというのは高層ビルが乱立し、どんな場所のどのような建築物であっても2階建て以上が当たり前のように思える、今の日本ではちょっと驚くかもしれませんが、危険物を保管する施設という意味では万が一の際の避難や消火活動、被害拡大防止を考えると必要になります。
軒高さはどういうことかという気がしますが、これは平屋建てではあってもあまりに高さが高いと、結局は普通ではないくらいに積み上げられて保管されることが考えられるためです。
どうみても危険性が高まるのは間違いありません。
広さについても似たような意味合いがあって、効率という観点では巨大な施設を設けたほうが良いのかもしれませんが、際限なく認めてしまってはこれも万が一の際の被害を拡大するだけです。
指定数量が10倍以上の危険物保管庫には避雷針の設置が必要
落雷から倉庫内の荷物を守ることは安心に繋がる部分ですが、これは落雷により火災が発生し倉庫内で保管している荷物が燃えてしまうなどのリスクがあります。
しかし、危険物保管庫の場合は取り扱っているものが危険物であり、落雷で火災が生じると薬物に引火して大爆発や気化したことで有害ガスが発生し空気汚染などの被害に繋がるため施設により落雷の対策が求められます。
危険物保管庫には避雷針に関する法規があるのですが、この法規は消防法で規定されているものです。
消防法の中での避雷設備の設置が必要な建物や貯蔵タンクは、指定数量が10倍以上の危険物を取り扱っている製造所や屋内貯蔵所および屋外タンク貯蔵所などの取り決めが行われています。
ちなみに、マンションやビルなどの建築物の場合は、高さ20mを超えるものは有効な避雷設備が必要になるのですが周囲の状況で安全性への支障がない場合は設置義務はないとされますが、危険物保管庫は平屋の建物で危険物の量で避雷針の設置義務があるなどの相違点が存在します。
危険物保管庫は地下に設置すると安全性が高まります
危険物保管庫を地下に設置することは、安全性を向上させる重要な手段です。様々なリスクや危険性を低減することができます。
まず地下に保管庫を配置することで、外部からの影響を受けにくくなります。自然災害や事故、人為的な要因による被害を最小限に抑えることが可能です。
風雨や地震などの気象条件による影響を受けにくくなるため、保管物の安全性が高まります。
また温度や湿度の変動が比較的少ない環境です。これにより危険物の劣化や変質を防ぐことができます。特に高温や高湿の状態が危険物に与える影響を考えると、環境は保管に適していると言えます。
さらに盗難や不正アクセスなどのリスクを軽減することができます。アクセスは制限されやすくセキュリティ対策を強化しやすいため、保管物の安全が確保されます。
一方で保管庫を設置する際には通気や排気などの点にも注意が必要です。十分な換気が確保されていないと、特定の危険物が蓄積された空間は有害な状態になる可能性があります。適切な設計と管理が重要です。
危険物保管庫を地面の下に設置することは、外部からの影響を軽減し、安定した環境を提供するための有効な方法です。しかし適切な設計と管理が必要であり、安全性を確保するためには慎重な対応が求められます。
危険物保管庫には管理者を置き適正に管理する必要がある
危険物は取り扱いを間違えると、火災や中毒などの甚大なリスクの原因となる可能性があります。
ここに危険物とは、通常の状態で放置しておくと爆発・火災・中毒などが発生する可能性がある物質のことです。
消防法にはそれぞれの物質の特性やリスクに応じて、6種類に分類定義され取り扱い方が規定されています。
危険物保管庫は、これらの物質の危険性をふまえ安全に保管することのできる設備のことです。身近な危険物保管庫では、ガソリンスタンドを上げることができます。
ガソリンスタンドは消防法では危険物取扱所に分類されており、オイル交換などを行う自動車整備工場なども該当します。
これらの施設をもっている場合は、管理者として「危険物取扱者」という人員を配置しなければなりません。
この資格を持っている人は、危険物を正しく使用保管するための必要な知識を習得するとみることができます。
危険物の取扱量におうじて、甲乙丙の三種類ですが、ガソリンスタンドでは丙種の免許が必要です。
危険物保管庫は素材によって場所を使い分けたほうがよい
危険物保管庫はものの種類によって倉庫を使い分けることが適切であるのです。
まず、危険物保管庫の危険物は種類によって取り扱いや保管方法が異なります。
専門家目線では、可燃性の物質や腐食性の物質、有害なガスなど危険物はそれぞれちがう特性を持っています。
これにより、保管庫内の環境条件や設備要件が変わるため、適切な場所を使い分けることが重要です。
さらに、危険物の混合や事故を防ぐためにも、素材ごとに場所を分けることが必要です。専門家目線では、異なる種類の危険物を同じところに保管すると、化学反応や火災のリスクが高まる可能性があります。
適切な区画ごとに保管することで、安全性を確保し、事故を未然に防ぐのです。
法的規制や安全基準を満たすためにも使い分けが重要です。プロ目線では、危険物の取り扱いには法律や規制が存在し、これに準拠する必要があります。
違うものを混ぜて保管することは法的な違反となる可能性があるため、素材ごとに場所を区別することは合法的で安全な運用を実現する手段となるのです。
危険物保管庫は定期的なメンテナンスが必要です
危険物保管庫は安全な環境を維持し、事故や被害のリスクを最小限に抑えるために、定期的なメンテナンスが不可欠です。
これは、保管庫内の設備や機器の動作状況を確認し、必要な修理や補修を行うことで、効果的な危険物管理を確保するための重要なステップです。
まず保管庫内の温度や湿度のチェックがあります。危険物は、特定の環境条件を保たなければならないことがあり、これらの条件が乱れると危険性が増大します。
定期的な温度と湿度のモニタリングと調整は、事故や漏れのリスクを軽減する助けとなります。
次に保管庫の扉やシール、排気システムなどの機器の動作確認が必要です。これらの部品が正しく動作していない場合、危険物が外部に漏れる可能性があります。
定期的な点検と保守作業によって、適切なシールや通風が確保され、環境への影響が最小限に抑えられます。
火災予防対策も重要な要素です。保管庫内には可燃物や引火性物質が存在する可能性があるため、火災発生のリスクがあると言えます。定期的な火災報知システムや消火器の点検、電気設備の点検などが含まれます。
危険物保管庫内の危険物の保管状態も確認されるべきです。容器の破損や劣化、腐食などがある場合は、漏れや事故の原因となる可能性があります。
定期的な点検と保管状態の確認によって、危険物の保管が適切かどうかを確認し、必要な措置を講じることができます。
危険物保管庫は住宅地に作らないように気を付けよう
危険物保管庫は、安全面から考えて住宅地域には設置しないことが重要です。これは住民の安全と生活環境の維持に関わる重要な問題です。
危険物保管庫には、化学物質や爆発物などの危険な物質が保管される可能性があります。
これらの物質は事故や火災の際に重大な被害を引き起こす可能性があるため、住宅が密集する場所に設置することは避けるべきです。
住宅地域に危険物保管庫を設置することで、住民の安全が脅かされる可能性が高まります。事故や漏洩が発生した際に、近隣住民や学校、商業施設などに影響が及ぶことが考えられます。
また、危険物の保管庫が近くに存在すること自体が心理的な不安を引き起こす可能性もあります。
これは住民の生活の質を低下させ、地域全体の健全な発展にも影響を及ぼすことでしょう。
そのため危険物保管庫の設置場所は慎重に選定する必要があります。工業地域や適切な安全基準を満たした施設内など、人々の生活圏を離れた場所に設置することが望ましいです。
また設置場所の選定に際しては地域住民の意見や安全専門家の助言を考慮することも大切です。
安全な環境を確保するためには、慎重な計画と透明性あるコミュニケーションが不可欠です。